mokz氏について

Vsinger mokz
中学時代にボカロ・ニコニコ動画と出会い「歌ってみた」を投稿し始め、2020年、コロナ禍の停滞感を打破するように個人勢VTuberとしてデビュー。以来VRChatのライブシーンでも活躍し、代表曲『EverRain』をはじめパステルながら彩度を抑えた独自の音世界を築いてきた。来春の復帰に向けた新たな目標や、音楽への向き合い方について率直に語ってもらった。
インタビュー全文
音楽との出会いについて

——VSingerとして活躍されているmokzさんにインタビューができて大変光栄です。早速ですが、音楽との出会いについて教えてください。

本当に覚えてないんですよ(笑)。親も音楽をやってたとかでもないですし、一般的なテレビの音楽番組はそれなりに流れていたかな、くらいですね。ただ、幼稚園の先生や小学校のピアノ伴奏を見て、かっこいいなと思って。小学校の途中からピアノを習わせてもらったこともありました。吹奏楽もちょっとだけ経験していて、クラリネットでした。楽器もまだ実家にあります!
サブカルとの出会い

——ちなみに、ボカロなどなどのサブカルとの出会いってどこにあったんでしょうか。

中学生の時に友達がダンスの授業でボカロ曲を持ってきたのが最初ですね。当時は存在すら知らなかったので「今のアニソンってこんな感じなのか」って思って。その後、曲を提案してくれた子からニコニコ動画を教えてもらい、ボカロからインターネット音楽に入っていきました!

——当時は歌ってみたもたくさん上がってましたよね。

そうですね。私も実は、ニコニコを知ってすぐの頃から投稿をしていました(笑)。 名義は違うんですけどね。最初は無料の録音だけができるようなソフトと、PCに内臓されていたマイクで初投稿です。インストにそのまま声を載せただけでしたが、「一応形にはなるじゃん! 次はこんなことをやってみよう」という積み重ねで、今に至ります。

——行動力がすごいですね(笑)。

実は当時、いろいろあって部活をやめてしまったんです。休みの日が月1しかなかったのが、急に週2まで増えて、やること何もなくなっちゃった時だったんです! 親は親で、ゲームは絶対買ってくれなかったんですけど、音楽機材は買ってくれるので、ある意味ゲーム代わりだったんですよ(笑)。
VTuberになったきっかけ

——そこからVTuberになったきっかけってなんだったんでしょうか。

大学の時には、仲間内でサークルを立ててよく遊んでいて。その時一緒に運営していた部長が、今の私の姿をデザインしてくれています。

デビューした2020年は、はやり病のせいで、いろいろなことが止まってしまったじゃないですか。夕方になったら昼寝して少しだけゲームしてまた寝る、みたいなルーティンの生活に、何というかもやもやしてしまったんです。それを打破したくて、昔のゲームをつけるみたいな感覚で歌を録音してみたっていう感じです。そうしていたら、知人のつてで個人VTuberさんのMIX依頼をいただいて、そこから個人勢という選択肢があることを知りました。VTuberをするには莫大(ばくだい)なお金がかかると思っていたのですが、いろいろやり方があることも知れて。「取りあえずやってみるか」でVRoidの身体を作り、サクっとデビューしてしまいましたね。

——結構あっさりしたスタートだったんですね。

最初は数字のことも全然考えてなくて、完全に趣味としてやっていくつもりだったので、収益化できたらラッキー、なんて思っていました。そしたら、今ではYouTubeの登録者8000人を突破させていただきました! いろいろなご縁に感謝です。
VRChatでも活躍

——VRChatでも活躍されていますね!

2021年の『MusicVket 2』の頃に始めて以来、ライブ出演を中心に活動させていただいてます! Quest 2の発売が重なったのと、自分の初オリジナル楽曲をリリースしたタイミングが重なって。おかげでVRCの音楽コミュニティにはすぐ出会えましたし、今ではユニットも組んでいるViviと知り合ったのも、VRChat初ライブの時でした。たくさん刺激をもらえて、表現の幅も広げたいなと思うようになり、すぐVR機材をそろえました(笑)
尽きない向上心

——着実に成長していくというか、向上心がありますよね。

変化しないのは退化だと思っているので、人生が終わるその時までに成長ポイントをたくさんためられてるような人でありたいですね。自分の弱点を受け止めはするんですけど、できないことを言い訳にしたくはないんですよ。できないことがかわいいっていうのはあると思うんですけど、かわいがられるために開き直るのは、己の美学に反していると思っています。
楽曲について

——ぜひ楽曲についても聞かせていただけたらと思います。『EverRain』が代表曲と伺いましたが制作の背景について教えてください。

今よりも、もっと生活習慣が終わっていた時があったんですけど、徹夜で作業して苦しんだあとの朝4〜5時頃に、歩道橋でたそがれるのが好きだった時期があるんですよ。小雨とかぐずついた天気の時なんかに、暗い住宅街を眺めながら、「自分はなにになれるんだろう」「これからなにを目指せばいいんだろう」とよく考えていたのを反映した楽曲になります。
最近作った楽曲は自作が多いですが、この曲は作詞作曲をしていないんですよ。園田優さんにさっきのようなイメージでお願いしたら、エスパーなのかなって思うぐらい「そういうことだよ!」っていう楽曲を制作いただけて。お気に入りの楽曲です。

——『表裏』や『Anamnesis』はかなり独特な雰囲気の楽曲ですよね。

自分の中にあるイメージでしかないですが、パステルカラーな音が好きなんですよ。ただ、直球で明るいパステルはあまり登場しなくて、パステルの中にも影はあるというか、明度は高いけど彩度は低い音をよく使ってしまいます。
初見の方からはアイドルだと思っていただけることも多く、自分ももっと底抜けに明るい活動者を目指そうとしたこともあるんですけど、やってみると全然自分らしくなくて! むしろ、意外とリスナーさんから薄暗さを好まれることもあるといいますか。考えてみれば、私には底抜けの明るさもないし、普通のラブソングも書けない。それこそ、ガチ恋の恋がよくわからないから、ガチ恋営業なんて到底無理。自分にある要素で勝負しようって。

——かなり割り切っているというか、思い切ってますね。

比較的わかりやすいところでいうと、クワロマンティックという指向があって、自分はそれにあてはまると思っています。友情と愛情の区別が難しい、あるいはそれをあまりしたくないという感じのものですね。お付き合いの経験がないわけじゃないですが、単純に「親密度が高いですよ」というのを便宜上わかりやすくしただけ、という感覚です。でもそれを「恋愛感情」って区切られてしまうと違和感があるし、恋愛ソングはある種おとぎ話のように感じます。「恋のドキドキ」が自分にはないとか、普通の人がわかることが自分にはわからない、みたいなことに悩んだこともありましたが、最近はそれも個性と振り切ってしまおう!と思っています。
全体的な音や曲の雰囲気について

——全体を通すとバンドサウンドと電子音が結構調和した音使いになってますよね。

インターネットで音楽を知っていくうちに、Linkin ParkのMVと出会ったのがきっかけだったと思います。彼らの音楽にも、バンドサウンドに印象的なシンセが乗っていたり、心の曇りや葛藤を歌っていたりという点でかなり影響を受けた気がします。
女性ボーカリストで言うと、Ariana GrandeやRihanna、K-POPからもインスピレーションを受けています。
あとは、ピアノやストリングスを含んだ編成が好きです。自分で編曲したものも、ご依頼したものも、その二つはほとんど入っている気がします。

——曲に対してボーカルが馴染(なじ)んでいるのも特徴かなと感じました。

特に自分が作った曲では意識して調整しています。せっかく自分のために作れるわけなので、自分の声質と調和がとれているかどうかっていうのは考えています。
リブート期間について

——本当にいろいろ聞かせていただいてありがとうございます。休止といいますか、リブート期間を今年は挟むと伺っておりますが。

会社員、学生、そして活動と、三足のわらじをはきながら活動する中で、論文も佳境を迎え、PCも壊れて色んなトラブルが重なったんですよ。それにもともと事務作業が苦手過ぎるのもあって、いろいろと当初の宣言やお約束通りに出し切れていないものが多く申し訳ないなと思っていて。それらを整理しつつ、卒業後の来春には新しい何かを引っ提げて復帰を目指しています。

とはいえ完全に何もしなくなるわけじゃなくて、予定していた動画を公開するのもこの期間の目的ではあるので、時々コンテンツは見ていただけると思います! あとはたまに、Twitchでガチ作業配信をしようかと(笑)。

——復帰後にはどのようなことを考えているでしょうか。

音楽活動以外で言うと、今は配信の収益だけでなく、衣装制作のお手伝いをした収益を活動費用に当てているのですが、復帰後は3D衣装のブランドを持ちたいなと思っています。清楚(せいそ)でシンプルだけど、自分らしさのある衣装を目指しています。それこそ、私の作る曲みたいな感じで、ニュアンスカラーを中心にして、クラシカルなモチーフを使いながら普段着っぽいシンプルさもあるような、ワンポイントのおしゃれさがある服を作りたいですね。
これからの挑戦や目標

——ぜひ今後の目標や挑戦についても教えてください。

MVと同時に楽曲をリリースしたり、計画的に情報を公開したりしたいんですよね。そういう基本的な進行ができるようになりたいです。なんというか、音楽がうまくなるより先にこっちをやるべきじゃないかとも思ってます(笑)。
いつも、ライブの数日前にようやく曲が完成したり、イベント当日に音源だけは間に合ったものの、サブスク配信は数週間後になったりすることばっかりで……。
自分のキャパシティとかを読むのが苦手で、ついやりたいことを全部拾おうとしちゃうんですけど、マネージャーさんを雇えるような余裕はまだないので、まずは精進したいですね。

——活動面ではいかがでしょうか。

本当にやりたいことがたくさんあるので、今後はきちんと共同制作ができるようになりたいですね。ナンバー2として人を支える立ち回りは自信があるんですけど、リーダーとしてプロジェクトを動かすのはまだうまくできず、過去にも頓挫させてしまった企画があるんですよ。特殊な演出を取り入れたVRライブや、インスタレーション的な作品を実現したいです。仲間募集中です、当方ボーカル以外もそれなりにできます。

——本当にいろいろやりたいことがあるんですね。

今の時代って本当に先行きが見えないと思うんですよ。例えばAIだとか、謎の病気がはやるみたいなことが、ここ数年で大きく社会を変えてきたのはみなさんも体感してるように、次は何が来るんだ……と考えながら自分を成長させなければいけない。仮に何かまた大きな変化が来る時、その時自分が進みたい方向へ、いつでも進めるようになりたいと思っています。狭い一本道を進むんじゃなくて、大海原に出て好きな時に好きな方向へ向かいたいんですけど、そのためには相当な力が必要なので、そのための力を今のうちに身につけたいです。
皆さんへメッセージ

——最後にメッセージをお願いします。

お互い健康に、持続可能な生活をしようね! リスナーさん側の極端な例で言うと、コンテンツを100%追えないから、推し活に疲れてしまう、みたいな話をたまに聞いたりして少し悲しくなることがあります。お互い適度に適当でいたいところです(笑)。とか言っておいて、私自身が全然実現できてないから、しばらくそういう面でも修行ですね〜。お互いに余白のある生活のおともになれるコミュニティでありたいですね。ただ、私ひとりが頑張っててもうまく回らなくなってしまいますし、コミュニティを大きくしていかないとリスナーさん1人当たりの負担が大きくなってしまうのも悩みどころです。その辺りもみんなに力を借りながら考えつつ、まずは自分が楽しめることをやって、長くいい関係を築きたいな〜と思っているので、今後ともよろしくです。

本当に良いリスナーさんに囲まれているなと日々感じています。一緒に長生きして、適度に稼いで、いいもん食べて飲んでやっていきましょう!

結婚とかしたら教えてね!

私がしても絶対教えないけど!
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