Tatsh氏について

作編曲家 Tatsh 氏
音楽ゲームの世界で独自のサウンドを確立し、同人音楽シーンにも精力的に作品を発表し続けるTatsh氏。コミケ参加のきっかけ、愛聴する音楽、音ゲーについて——。それらを語るTatsh 氏の飽くなき創作への情熱と、配信300曲という新たな目標に迫った。
こちらは『【VSinger】Tatsh 遠回りの先にあった自分の音楽 前編【インタビュー】』の後編インタビューとなります。ぜひ前編をお読みいただき、こちらをご一読ください。
インタビュー全文
同人音楽への参加

——これまでプロとして活躍されてきたと思うんですが、どういった経緯で同人音楽の世界に入って来たんでしょうか。

2008年の夏コミから始めたんですけど、2007年の冬コミぐらいの時期にイラストレーターさんやコミケに出展されている方々と知り合う機会がありまして、その時に「CDも出せるんですよ。Tatshさんが出したらすごい盛り上がるから!」ってすごく勧められまして。そこから最初の作品を作りました。

——特にプロシーンから見て「これは」と思うところってあったでしょうか。

やっぱり出てみて感じたのは、ここ強調したいんですけど、サークル参加者さんも一般参加者さんも、スタッフ参加さんもみんな楽しそうなんですよね! みんなが思い思いのものを表現して、作品を作ってそれを出しているっていう場所の輝きっていうのは、表現者として素晴らしい場所だと思いました。参加したことそのものを楽しんでいるっていうのがすごいなっていつも感じてますね。

M3のインタビューで答えたところとつながる部分もあるんですけど、納得行くものとか自分で満足するものを作れたら、売れなくてもまたやれると思うんですよ。売れるものを作ろうとして失敗してるからやる気がなくなって出展しなくなるのかなっていうのは感じてます。これは自分もそうですけど、売れなくても「自分が好きなものだから!」って自分の作品を自分自身で気に入ってるから買ってもらえなくてもしょうがないなって思えるんですよ。
音楽の源泉

——本当に何年にもわたって、仕事でも同人音楽シーンでも音楽を出し続けているんですけど、その源泉ってどこにあるんでしょうか。

子どもの頃にブロックを組み立てるおもちゃがあったんですけど、それを飽きずに延々と毎日、組み立てていましたね。自分では気が付かなかったんですけど、生まれながらに、そういうことは好きだったようです。
インプットとしては、普段からいろいろなジャンルの音楽は聴いていますけど、純粋な音楽のインプットだけではなく、小説を読んだり、映画を見たりする方がインプットになってるかもしれないです。
Tatshの音楽とは

——本当にいろいろな名義でいろいろな楽曲を作っていると思うんですけど、これがTatshだと自分で思うところってどこにあるんでしょうか。

改めて聞かれると、音楽ゲームの曲を作った時に、ようやく「これが自分の音楽なんだな」っていうのが確立されたかもしれないですね。今でこそ音楽ゲームっぽい曲っていうと、テンポが速くて、シーンが頻繁に変わってみたいなイメージがあると思うんですけど、当時は確立されつつある感じぐらいでした。その試行錯誤が、そのまま自分の音楽スタイルになったかもしれないですね。

方法論は決めて作ると飽きちゃうので、なるべくその時々の自分の中でいろいろな方法を試しながら作ってはいます。それでも「似てるね」って言われるので、そこは仕方ないと思いつつ。
楽曲について

——かなり多種多様な音を使っているのが特徴だと感じました。音楽に使わないような音も使ってますよね。

どんどん曲を作るにつれて、あんまり人の曲を参考にするようなことがなくなっていきましたね。そういう意味では、自然と自分の音楽を作る上でその音が必要になったのかなとも思います。個人的に「このジャンルにはこの音入れちゃいけない」みたいな意見にはかなり反対してます。やっぱり自由でありたいですね。あとは、曲の主軸が決まったらすぐに「この音入れてみようかな」ってトライアンドエラーを繰り返しながら作ってるから、突拍子もない音が入っているのかもしれないですね。

——最近作った曲で、特に気に入っている曲はありますか?

配信でもリリースして、M3のアルバムには完全版として収録した『White Light』というシングルがあります。普段、朝にジムでランニングをする時、自分の曲を聴くこともありまして、そういう日々のルーティーンがあるので、『White Light』も、走っている時のスピード感や、朝から元気に過ごしたい気持ちに自然と近づいているかもしれません。その影響もあって、最近は明るく前向きで元気になれる曲が多くなっている気がします。

——全体的にボーカルと楽器が馴染(なじ)むような曲作りもされていますよね。

やっぱりバックトラックの面白さっていうのが大事なので、そういうところから、バックトラックを目立たせるような感じの曲が多いのかもしれないです。もちろんボーカルが主役ではあるんですけど、他のパートが目立っても全然okみたいな感じで作ってはいます。後は、音ゲーの音楽でボーカルを目立たせちゃうとプレイヤーのやることがなくなっちゃいまかすから、そういう曲をずっと作ってきたので、それが染みついちゃってるかもしれないですね。

——仕事の手癖ですね!

音楽ゲームの曲だけ作っていたのが何年間も続いてて、本当にそれだけやってたんですよ。それ以外の音楽はクローズドに作っていたので、染みついちゃいましたね。
その後、コンシューマーゲームの音楽を作った時に「音ゲーっぽい曲にはしないでほしい」ってリテイクを言われることがありました。もちろん、リテイクは、すべて受け入れるのですが、自分から自然に出てくる音楽に、音ゲー要素を0にすることはできないのかなって思いました。バージョンアップで収録される楽曲の1/10が自分の曲だった時もありましたし。

——Tatshさんの考える音楽ゲームらしい音楽っていうのはどういうものなんでしょうか。

自分が何の音をたたいているのか、何を演奏しているのかっていうのを分かりやすくしないといけないなと思っています。これが大事なので、そこはすごく研究したなと思います。構成のメリハリも、もちろん大事だと思います。

——後は結構ジャジーな楽曲が所々にあるんですけど、これにはどんな背景があるんでしょうか。

16歳の時に最初に通った音楽学校がジャズ寄りの学校だったんですよ。その時は、いまいち良さが分からなかったんですけど、なんとなくその時に教わったことがジャズ的な要素として出てきてるかもしれないです。

普段なにを聴く

——ちなみに個人的な趣味としてはどんな音楽を聴くんでしょうか。

実はクラシックを結構聴いていますね。バッハ、ベートーヴェン、モーツァルトを聞いていますね。特にモーツァルトって最初から天才でどんどん曲を書いていったんですけど、晩年にかけてきちんと曲に向き合っているっていう過程が面白いと思います。ベートーヴェンはモチーフを徹底的に煮詰めるっていうことをよくやるので、そこの面白さがあるなと思います。逆に、ショパンは肌に合わなくて、ドビュッシーはおしゃれすぎるしっていう感じで、今挙げた3人が好きかな。後、クラシック以外ではクラブミュージックでやってるDaft PunkやUnderWorld、William Orbit、Jean-Michel Jarreなどもとても好きですね。
これからについて

——本当にいろいろ聞かせていただきまして本当にありがとうございました。ぜひこれからのTatshさんについて教えてください。

思春期の自分に、今の自分の生き方がダサくないように思われたいですよね。生き方そのものもそうですし、人との接し方にしてもそうだし、音楽への向き合い方に関しても、タイムマシンで戻っても、過去の自分と対面した時に恥ずかしくないようにありたいです。

——こと音楽に関してはいかがですか。

今、TatshMusicCircleとして配信リリースしている曲が、200曲あるんですけど、250曲はもう到達しちゃうので、300曲目指したいですね! 後は次の秋M3でもCDを作りたいと思っています。それと、ジャケットなどに登場キャラクターたちと一緒に歩んでいきたいなって思っています。AIに関してはいろいろな意見があると思うんですけど、もうちょっと応援してもらえたらうれしいなって思っています……!
皆さんへのメッセージ

——最後に皆さんへメッセージをお願いします!

これからも配信でどんどん新曲を出していくので、そこから聴いてほしいなと思います。そして、また、新しいたくらみも考えていますので、BLOGやXをチェックしてもらえたらうれしいです。
お知らせ
DJ MURASAME『TECHNO-MATRIX』、TatshMusicCircle『BEYOND THE WAVE』が各種音楽配信サービスにて配信! 詳細は以下を参照に!

