Takanashi Haruka 氏について

ご紹介

作曲家 Takanashi Haruka 氏

小学生の頃のピアノ体験をルーツに、トランス・ドラムンベース・ハードコアなど多彩なジャンルを吸収しながら、独自のサウンドを追求し続けてきた。「音色から曲を作る」というフィーリング重視の制作スタイル。EP『Artificially Sweetened』の制作秘話を交えながら、その音楽哲学に迫った。

インタビュー全文

音楽を始めたきっかけ

Tukkun

——VRC内外で作曲家として活動されている小鳥遊遥さんにインタビューできて光栄です! 早速ですが音楽を始められたきっかけについて教えてください。

Takanashi
Haruka

小学校のうちはずっとピアノをやってました。ただ、クラシックピアノとかそういうのではなくて、家にピアノの先生が来て一緒に弾くみたいなちょっと自由な感じでやってましたね。それが原体験にはなるかなって思います。それ以降はもう早々にDTMを始めたりとか、ベースを弾いたりとかしていて、そのぐらいからFL STUDIOっていうDAWを買ってやっていました。

なぜトランスを?

Tukkun

——作曲をすると言ってもいろいろなジャンルがあったと思うんですが、なんでトランスをやり始めたんでしょうか。

Takanashi
Haruka

これは自分の音楽歴みたいなところというか、どんなジャンルが好きかみたいなところの根っこになる話ですね。最初M3か何かに出す方の同人トランス音楽をニコニコ動画で聴いて、トランスっていうジャンルを知ってそこから聴き始めたのが最初ですね。
そこから自分で作りたいなって思った時にDTMが一番やりやすいだろうっていう事で始めたっていう経緯があります。

制作を始めたきっかけ

Tukkun

——多くの人が聴いて終わってしまう中でどうして自分で作ろうという風に思われたんでしょうか。

Takanashi
Haruka

音楽に限らず、パソコンで何かを作るのが好きだったんですよ。その頃からプログラムも書いてましたし、絵も描いてたんですよね。その一環として、音楽もパソコンで作れるんだっていう事で始めたっていう感じです。

Tukkun

——そうしたら、ここまでずっと続けて来られたんですね!

Takanashi
Haruka

一応作ってはいますね。ただ、ちょっと周りと比べて嫌になって、外に出すのをやめちゃった時期がありました。作るのはやめなかったんですけどね。

Tukkun

——詳しくお聞きしても大丈夫ですか?

Takanashi
Haruka

大学時代に、パソコンでなんでも作るみたいなサークルに居たんですけど、その中で音楽をやっている人たちも当然ながら居たんですよ。やっぱりレベルは千差万別なんですけど、ずぬけてすごい人が居たんですよね。その人と比べると自分のはそうでもないなみたいな感じになっちゃって、表に出すのを控えたっていうのはありました。

Tukkun

——再開はいつぐらいだったんでしょう。

Takanashi
Haruka

作るのはやめてなかったので、リリース再開という意味では在学中に再開していますね。

作曲とピアノ

Tukkun

——ちなみにピアノの体験っていうのは今の作曲に影響を与えているんでしょうか。

Takanashi
Haruka

今も音楽を作る時に、鍵盤をリアルタイムで弾いて録音しますし、コードを考える時も鍵盤がないとできないぐらい鍵盤脳になっているのでピアノが一番影響を及ぼしているかなって思っています。

VRCとの出会い

Tukkun

——ちなみにVRChatに入って来た理由についても教えていただければと思います。

Takanashi
Haruka

2017年1月ぐらいにVIVEの体験コーナーが秋葉原にあったので、体験しに行ったんですよ。ただ、「確かにこれはすごいけど、家に置けるかわからないな」って思いながら行ってたんですよね。でも気が付いたらVIVEの箱を抱えて電車に乗っていました(笑)。俗に言う気絶ですね(笑)。

Tukkun

——たまにそういうことありますね(笑)。

Takanashi
Haruka

しばらくVIVEで遊んではいたんですけど、当時のVRゲームって大したものがなかったんですよ。それこそValveがリファレンスとして提供しているような『The Lab』が一番できが良いレベルで、それ以外は本当に遊ぶのも大変みたいな状況だったんですよね。そんな状況だったので、日に日に使わなくなって、半年ぐらいほこりをかぶってたんですよ。半年遊んで半年ぼこりをかぶってるみたいな。

Takanashi
Haruka

そこからちょうど1年がたって、2018年の1月ぐらいにVRChatっていうのがあるらしいぞって事で、うちにはPCもあるし、VIVEもあるからすぐ遊べるねって事で始めたのがきっかけですね。

はまった理由

Tukkun

——そこからかなりVRChatに入ってますよね。はまった理由って何だったんでしょうか。

Takanashi
Haruka

それで言うと、人間が面白かったからじゃないですかね。やっぱり初期のプラットホームって結構面白いユーザーが多いっていうのはよくある話で、Xも2008年頃はこんな殺伐した空間じゃなくて、もっと優しくて面白い空間だったんですよね。そんな感じがあったのかなと思います。

Tukkun

——本当に初期の頃だと、日本人コミュニティーを見つける事そのものが難しかったと思うんですが。

Takanashi
Haruka

ほぼ同時期に始めた知り合いつてにコミュニティーが見つかったので、日本語でコミュニケーションを取れる状態にはなっていましたね。ただ、チュートリアルが終わってすぐに、The Hubっていう全世界の人がそこに集まるインスタンスに放り込まれたのはちょっと大変でした。

Tukkun

——そうしたら、音楽の活動をするためにっていう形で入ってきたわけではないんですね。

Takanashi
Haruka

そうですね。音楽は全然文脈の外でしたね。実を言うと今もそんなにVRChatで音楽をやっているっていう感覚はなくて、音楽をやっている人が集まっているので、情報交換をしたりだとか、他愛(たあい)もない話をしたりするぐらいとは思っていますね。

楽曲について

Tukkun

——小鳥遊さんの曲について聞かせてください。全体的に1個1個の音がとても心地良いなと感じました。音色の選び方についてぜひ教えてください。

Takanashi
Haruka

音色を選ぶ事に関しては、本当にフィーリングでやっちゃってるところが強いですね。逆にメロディーとかコードとかの方は、個人的に気持ち悪い音の組み合わせに敏感に反応するタイプなので、そのままにせずに直す事が多いですね。

Takanashi
Haruka

というか、自分は結構音色から曲を作るタイプなので、いろんな音色を鳴らして、これならメロディーが生まれてきそうとか、これならコードが生まれてきそうっていう音に巡り合ったタイミングで鍵盤を弾き始めて、曲を作るのでやっぱりフィーリングが近いかもしれないですね。

Tukkun

——それと同じテーマを装飾しつつ展開していくのも大きな特徴だと感じました。

Takanashi
Haruka

トランスって結構音の抜き差しの音楽なんですよね。基本的には同じフレーズがループしていて、その中でいろんな音が抜き差しされていって展開が作られるっていう音楽なんですけど、それが好きだったから、そういう展開になってるっていうのはあるかなって思います。

Tukkun

——それに、必要最低限の楽器構成+αも特徴だったと思います。

Takanashi
Haruka

必要最低限だけだと、地の部分が見えちゃうっていうか、なんていうんでしょうか……。やっぱりそれはそれで気持ち悪いなって感じるんですよ。そこをどうにか解決しようとすると、あのぐらいの構成になるのかなっていう感じですね。

Tukkun

——曲の速さも早くもなく、遅くもないようなちょうどいい感じですよね。

Takanashi
Haruka

最近の曲に顕著かもしれないんですけど、174bpmぐらいの曲を書いているんですよね。これが、2番目ぐらいに好きなったハードコアとかドラムンベースの速さなんですよ。確かにハードコアテクノとかはピロピロしているんですけど、ドラムンベースってそこまででもないんですよ。174っていう速さでもハーフテンポで取れるリズムパターンを使ってる事が多いので、それに影響を受けて、あんまり速いフレーズを使わないんじゃないかなていう風に思っています。

Tukkun

——そういった電子音の多い曲ではあるんですけど生のピアノも入っているのがとても面白いと思いました。

Takanashi
Haruka

トランスとか、ハウスみたいなジャンルでも、基本的にピアノは欠かせない楽器になっているので、これもそのジャンルの楽器構成に即しているって言ってもいいのかなっていう感じですね。でもなんて言うんでしょう……。やっぱり一番演奏歴が長い楽器だからっていうのはありますね!

Tukkun

——一曲中の展開が多いのも面白いポイントだと感じました。

Takanashi
Haruka

展開がコロコロ変わる曲が多いのは、今回のEP特有かなっていう感じではあります。今回の『Artificially Sweetened』が、かわいい系ではありつつ、若干重たい音も入れて裏がある感じを出したかったので、そういう意味でもちょっと意表を突くような展開を意図的に入れていますね。

Tukkun

——いろいろな曲を聴かれているからこそできる事かなと感じました!

Takanashi
Haruka

やっている事はAIと変わらないみたいな感じですね(笑)。ジャンルは偏ってますけど、これまでの音楽を学習して何か新しい音楽を作るみたいな感じです。

今後の目標について

Tukkun

——本当にいろいろ聞かせていただきましてありがとうございました。ぜひ今後の目標や挑戦について教えてください。

Takanashi
Haruka

もうちょっとオンライン上で目立てるようになれたらいなという風に思っていますね。VRChatをはじめ、各種ストリーミングサービスとかで頑張っていきたいですね。

Tukkun

——音楽的なところではどうでしょうか。

Takanashi
Haruka

難しいところではあるんですけど、いくつか挙げられるかなとは思っていて、歌物を増やすっていうのは一つあるかなって思っています。既に歌ってくださる人とかSynthesizer Vを使って歌も作っているんですけど、特に作詞のスキルが足りてないなって思っているんで、ここを伸ばしていけると良いかなっていうのがありますね。

Takanashi
Haruka

もう一つが、もう少しジャンルに沿った曲を作るっていう事をしてもいいのかなって思っています。どうしても無色透明になりきれてないんですよね。「トランスを作るぞ」って思って作ってもトランスっていうジャンルの一般的な楽曲のような展開とか、メロディーを作れないんですよね。手癖がでちゃうところがあるんですよ。手癖が悪いものではないんですけど、必要のないところでは出さないようにしたいなっていうところです。

みなさんへメッセージ

Tukkun

——本当にインタビューを受けていただいてありがとうございました。みなさんに向けてメッセージをお願いします!

Takanashi
Haruka

これからもぜひよろしくお願いしますっていう感じです。これからはさらに精進していこうと思っているので、成長を見届けていただければなっていう風に思っています。
紙面で興味を持ってくださった方には1回でもいいので、自分の曲を聴いてもらって気に入ったらぜひそこから広げていってもらえるとうれしいなって思います。

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