吃音みりぃo氏について

Vtuber 吃音みりぃo氏
イラスト投稿サイト「pixiv」をきっかけにVTuberという活動を知り、歌配信を中心に活動を始めた吃音みりぃo氏。吃音症を抱え、話すことに難しさを感じてきたが、歌う時だけは言葉が詰まらないという経験が歌を好きになった原点と語る。吃音を公表したことで心が軽くなり、同じ悩みを持つリスナーとのつながりも生まれた。これまでの活動から、これからの活動までたっぷりと語ってもらった。
インタビュー全文
音楽との出会い

——VTuberとして歌枠や参加型配信などの活動をされている吃音(きつね)みりぃoさんにインタビューができて光栄です。早速ですが、音楽との出会いについて教えていただけますか。

特にピアノを習っていたとか、音楽に関わる何かをしていたみたいなことは全くなくて、本当に小中学校で音楽の授業を受けていたぐらいですね。ただ、歌を好きになった理由があるんですけど、私ってしゃべる時にうまく言葉が出なかったり、詰まってしまったりする吃音(きつおん)症なんですよ。言葉がうまく出ないので、話すことに難しさを感じていて、自分の思っていることを相手に伝えられないもどかしさを抱えていたんですが、歌っている時だけは言葉が詰まらずに出てくるんですよね。人によってはもちろん歌っている時にも症状が出てしまう人もいるんですけど、少なくとも私は歌っている時には詰まらないので、歌を歌えば思い通りに自分を表現できるっていう感覚が歌を好きになった原点です。
歌っている時だけは自由な自分っていう、そんな感じです!

——ちなみに、ご家族は音楽をされていたんでしょうか?

家族も部活も音楽とは全く関係なかったですね。本当に歌うのが好きっていう感じで、家でずっと歌っていましたし、友達と遊びに行く時にはよくカラオケに行くとかそんな感じで過ごしていました。
活動へ向かったきっかけ

——吃音という症状を抱えながら活動へと踏み出そうと思ったきっかけってなんだったんでしょうか。

元々イラストを描くのが好きで、子どもの頃から“pixiv”っていうサイトに絵を描いて投稿してたんですよ。そうしたら、pixivさんから絵を描くような感覚で3Dモデルが作れる『VRoid Studio』っていうツールが発表されまして、いろいろ調べていくうちにVTuberっていうジャンルを知ったのがきっかけでした。でも、VTuberさんってしゃべるのがメインの活動だと思っていたので、私がやると吃音で言葉が詰まっちゃうし、吃音を知らない人もいるので変な人に思われるのは嫌だなっていうのは思っていました。それでも、歌なら言葉に詰まることはないし、歌の配信を中心にすればできると思ったのが配信活動に踏み出したきっかけですね!

——pixivでも活動されていてのつながりだったわけですね。

そうですね。pixivにもミクちゃんのイラストがたくさんありましたし、ボカロも好きだったので、歌配信との相性もいいかなっていうのは感じていました。

——デビューするにあたって必要なイラストなどを自分で全部を用意したとのことでしたが、大変じゃなかったですか。

大変っていうよりも、自分で作ったキャラクターを動かすっていう部分に興味津々だったっていうことの方が大きいですね!
実際に活動してみて

——実際活動してみていかがでしたか。

歌配信っていっても、やっぱり歌と歌の間にはトークをしないといけないっていうのがあって、そこで言葉に詰まることもあったのでちょっと大変でしたね。自分の中で吃音って恥ずかしいことというか、変な人みたいなイメージを強く持っていてなんとか隠そうみたいに思ってました。でも、別のVTuberさんを見ている時に、その方が「吃音です」って自分からさらけ出していて、その方を見てから「自分もみんなにさらけ出してやってみようかな」って思ったんですよ。その時から「私って吃音症なんですけど、歌ってる時には詰まらないので歌ってます」ってカミングアウトして、自分自身の心がすごく軽くなったのを感じました。それに、見てくれている人たちの中にも「私も吃音なんです」って言ってくれる人がいて、今の方向に向かってよかったなって思っています。

勇気を出して公表することで、見てくれる人がいたり、私の活動を見て励みになってますって言ってくれたりする人がいるので、続けてきてよかったなと思います。
歌について

——歌についても聞いていきたいんですが、歌ってみた動画で大切にしていることについて教えてください。

自分のすごいお気に入りの曲を歌いたくてイラストも動画も、全部自分でやっているので、元々の世界観を崩すことなく、リスペクトを持って歌うっていうのは意識していますね。その中にほんの少し自分のオリジナル要素を入れられたらっていうような感じで歌っています。特に曲調と歌詞はそれを読み取って自分の感情を歌っているような感じです!

——ちなみにご自身で一番気に入っている歌ってみたはありますか?

やっぱり一番新しい『人マニア』ですかね。投稿を始めて最初の頃は技術力も全然なくて思い通りに素材を動かせないこともあったんですけど、最近上達してきてやっと思い通りに作れるようになってきたんですよ。あとはLive2Dも覚えたので、それで動かしたイラストを動画に使うとか、いろいろやってMVとしては一番頑張れたなって思っています!
歌枠と歌ってみたについて

——歌枠と歌ってみたでちょっと雰囲気が違うような印象も受けるんですが。

大前提として、本家さんの歌に寄り添うっていうことは大切にしているんですけど、配信ってその時の雰囲気とか天気とか、リスナーさんの気分とかもあるので、それに合わせて歌うようにしています。リスナーさんの元気がないなっていう時には、優しく寄り添うように歌ったり、雰囲気を見ながら逆に励ます感じで元気に歌ったりとかいろいろ工夫しています!
「面接があって緊張してます」っていうリスナーさんがいたこともあったので、そういう時にはそんな感じで歌ってますね!
選曲と練習について

——ちなみに歌枠ではどんな感じで歌う楽曲を決めていくんでしょうか。

自分で「今日は夏の曲」みたいにテーマを決めてやる時もありますし、例えば「サカナクション」さん縛りみたいにアーティストさんで統一することもあります。ただ、普段長時間になりがちな朝活の歌枠だと、行き当たりばったりで決めていて、その時の気分とか、リスナーさんの雰囲気で選ぶこともあります!

——本当にいろいろな歌を歌われているんですけど、どんな風に練習をしていくんでしょうか。

まずは聴き込んで鼻歌で合わせますね。そこから、歌詞を見て「ここの歌詞はやわらかく歌おう」みたいに表現を付けていくような順番で練習しています。ただ、自分としては難しい曲とかがあると結構時間がかかることもあるので、皆さんに聴いてもらうのにかかる時間は結構バラバラなことも多いです。

——これまでボイトレとかに通われたことはあるんでしょうか。

ボイトレとかは行ったことがないんですけど、憧れますよね! 自分の歌がどんな感じになっているのかっていうのを、客観的に確認したいなとは思っています!
歌や活動で大切にしていること

——歌という活動を通して大切にしていることはなんでしょうか。

心にグッとくるような、ストーリー性のある曲が好きなので、その曲を通じて私が感じたこととか感情を聴いてくれた方にまっすぐ届くように歌いたいなって思っています。それに、聴いてくれる人の心に寄り添ったり、温かく背中を押してあげたりするような感じで歌えたらいいなって思っていますね。
基本的には優しさを軸に活動しているんですけど、ボカロにはトゲがある曲も多いので、そういった歌でも感情を揺さぶるような歌が歌えたらうれしいです。

——全体としてはどうでしょうか。

私の活動というか、今までの人生でも“吃音”があることでやってみたいことを諦めたりとか、どうせできないって思ったりすることがあったんですよね。でも、それをさらけ出して活動していた方を見た時に「気にしないでやってもいいんだ」って思えたんですよ。これを自分もできたらいいなって思っているので、みんなを応援するとか、癒やしてあげて元気になってほしいなって思っています。
これからの挑戦や目標

——本当にいろいろ聴かせていただいてありがとうございました。ぜひこれからの目標と挑戦について教えてください。

まずはオリジナル曲を出してみたいんですよね。自分の思いを自分なりに形にした自分100%の曲を作りたいです。どんな曲にしようかなっていうのは迷っているんですけど、やっぱり優しい曲にしたいなっていうのは思っています。ボカロでいうと『今はいいんだよ。』みたいな楽曲を作りたいですね。
あとはリスナーさん参加型といいますか、みんなと一緒に歌詞を考えたような曲も作りたいです。

——活動的な部分ではいかがですか。

まずは登録者5000人を目指したいなって思っていますし、イベント的なことが自分にできるかわからないですけど、憧れはありますね。
でもなにより長く活動を続けたいなって思っています。これまでの活動の中でちょっと辞めようかなって思ったこともあったんですけど、ここまで続けて来られたので、ここから何年先でもいいので続けていきたいなって思っています。
皆さんへのメッセージ

——最後に皆さんへメッセージをお願いします。

いつも温かく見守って応援してくれるリスナーの皆さん本当にありがとうございます。私がこうして活動を続けていられるのは、歌や配信を聴いてくれる皆さんがいるからです。日々の応援とても感謝しています。

そして同じ吃音症を持っている皆さん。言葉が詰まってしまうことで、やってみたいことを諦めてしまうことがありませんか? 私もいまだに、吃音を理由にいろいろなことを諦めそうになることがあります。それでも、私はこのVtuberの活動を吃音があるからできないと諦めるのではなく、やってみたいならやってみようと思って続けてきました。諦めずに続けて来たことで、たくさんのリスナーさんに出会えています。これからも吃音を持ちながらもやりたいことを諦めずに挑戦する姿や活動を通して見せていきたいと思っていますので、吃音症の方もそうでない方も一緒に楽しんでもらえたらうれしいです!
