segarl氏について

ご紹介

ギタリスト・作編曲家 segarl氏

ドラマや劇伴、ゲーム楽曲など、幅広い現場でギターを担当してきたsegarl氏。表舞台には立たないスタジオミュージシャンならではの仕事の進め方や、依頼者の意図をくみ取りながら個性を織り込むバランス感覚について語る。後半では制作へのこだわりに加え、自身の拠点作りや新たな交流の場づくりといった今後の展望にも触れる。

インタビュー全文

スタジオミュージシャンとは

Tukkun

——ぜひスタジオミュージシャンという部分についてもお話を聞かせてください。前面に出る一般的なアーティストと違って、表には出てこないっていう部分もあってお話を伺う機会がないんですけど、そもそも録音ってどんな風に進めていくんでしょうか。

segarl

本来のスタジオミュージシャンはスタジオでレコーディングをするからそう呼ばれてると思うんですが、僕の場合は自宅で作業することがほとんどです。例えば楽曲にギターを入れる仕事だと、大体ギターが全く入っていない仮のデータをもらって、そこに音を入れていくようなパターンが多いですね。だからカラオケみたいな音源をもらうっていうイメージが近いと思いますし、TVアニメ『ぽんのみち』で録音したキャラクターソング5曲は全部そうでした。

segarl

あとは楽譜もあったりなかったりが半々ぐらいですね。なかったとしても他の楽器が入っていればそこから自然と入れるべきフレーズみたいなのは出てきますし、楽譜があったとしても全部書かれているわけではなくて、コードと大事なリズムだけが書いてあったり、細かいフレーズに指定がある場合にはそのフレーズが書いてあったりします。サックスのフレーズに合わせてとかそういう指示がある場合もありますね。

Tukkun

——そうなんですね! だとするとギターで参加されていた『ぽんのみち』の『指先から感じて』なんかはギターの刻みから入っているんですけど……。

segarl

なので、ドラムとベースが鳴ってるだけの楽曲データだけが来て、なかなかつかめないなとは思いましたね! ただ、ドラムの感じでゴリゴリのロックで行きたいんだなっていうのはくみ取れたので、何とか形にはなりました。

どこまで自分のキャラを反映させるのか

Tukkun

——なかなか大変だと思うんですけど、どのぐらい自分の意思やキャラクターを反映させるんでしょうか。

segarl

中には作家さんの思いが強くある楽曲もあるので、その場合にはしっかりそこにノーミスで合わせていくっていう感じではありますね。ジャンルにもよりますけど、そこでエッジの効いたバッキングにするのか、それともクリアなカッティングにするのかっていうのは、読み取りながら仕事を進めていく感じです。丁寧にパズルを組み立てていくイメージですね。

segarl

でもやっぱりそういう中でいたずら心も出てきちゃうというか、僕のロック魂が顔を見せるんですけど、崩していい範囲っていうのが曲によってはあるので、そこが個性の出しどころかなと思います。例えばメジャーキーの曲なのに、あえてマイナーの音を入れて、ブルージーな感じにすることもあって、そういう場合には録音したものを複数個は送るんですけど、遊んだ方が採用されることもありますね! ただ、忙しい作家さんもいらっしゃるので、そういう場合には真面目に弾いたものと少しだけ遊んだものを二つぐらい投げてお任せしてしまうっていうこともあります。

segarl

その曲における正解っていうのは僕が作るものじゃないっていう意識は常にあって、アーティストとしたら無責任なのかもしれないですけど、スタジオミュージシャンっていう立場であればそれが正解だと思っています。

ドラマの劇伴について

Tukkun

——『オトナ女子』や『逃げるは恥だが役に立つ』など、ドラマに使われる劇伴のギターを担当されていると伺っていますが、楽曲を聴いた感じだと通常の録音とは少し違うのかなとも感じていますがいかがでしょうか。

segarl

1回だけ劇伴のお仕事で注意といいますか、指摘をいただいたことがあったんですけど、あんまり指示がなかったので、結構ノリノリで録音したら「ギターが目立ちすぎなんで、存在感のないメロを弾いてもらえますか」っていうご指摘をいただいたんですよ。そこで結構ハッとしまして、メロディーを聴かせない曲というか、風景みたいなギターの演奏っていうことについて考えさせられましたね。メロディーを印象に残すんではなくて、雰囲気を印象に残さないといけないので、すごく難しいなと思います。

スタジオミュージシャンとしてのバランス感覚

Tukkun

——本当にアーティストとは違うアプローチで興味深いです。どうやってそういった感覚を身に付けていったんでしょうか。

segarl

色んな作曲家さんとやり取りをしながら、こういうのがいいんだなっていうのを学んでいったっていうのが一番ですね。ただ、こういう仕事をしてて思うのが、ちゃんと修正できるかっていうところが大切だと思います。どうしても1回目の提出ってお互い探り探りな部分があるので、修正が必要になるんですけど、最初の修正をもらった時に意図をくみ取って、反映して納得してもらえるかっていうのが大切だと思います。そこを作家さんは一番見ていると思いますね。
当然1回目から100%かっこいいなっていうデータを渡すので、「これは違いますね」って言われた時はへこみますけど、くよくよしていてもしょうがないので、爽やかに駆け抜けていくのが大事です!

Tukkun

——アーティストというよりは本当にギター職人みたいなイメージですね。

segarl

依頼をしてくれている作曲家さんとか、プロデューサーさんの思いを乗せることが大切なので、自分がっていうよりもチームで向かうべき方向に行けるかどうかが大切じゃないかなって思っています。そういう意味でアーティストの方とはそもそものスタントが違うって言える仕事なんじゃないですかね。

自分の作品は……

Tukkun

——自分の作品を出されることってないんでしょうか。事前の資料にもなかったんですが……。

segarl

たまに自分の作品が作りたくなる時もあるんですけど、自分で作って自分で聴いて終わりとか、仲間に聴かせて終わりとかそのぐらいですね。この前めいっ子に「おじちゃんボカロPやってよ」って言われたんで、めいっ子のためならやってもいいかなって思ってますけど、本当にそのぐらいです。

作編曲した楽曲について

Tukkun

——そんな中でも作曲を担当されている楽曲を聴くと、生音だけでなくて電子音も使われていて印象的に感じたんですが、どういった理由があってでしょうか。

segarl

その都度、その楽曲に求められている音を使っている意識ではあるので、狙ってやっているわけではないんですよ。ただ、ドラクエが好きで、アニメも好きで見ているのでバンドサウンドももちろん好きではあるんですが、電子音を乗せてもかっこいいなとは思うので、そういうのが影響しているかもしれないですね。
特に初めて太鼓の達人に収録していただいた『ロボットロケンロー☆』はバンドサウンドと電子音が混ざってるいい例だと思うんですけど、実は試作段階だともっと電子音が少なかったんですよ。作曲した曲とはいえ結構色んな人の思いが入った楽曲になるので、実は100%自分の思いで作った楽曲ってないんじゃないかな……。

Tukkun

——今までのお話を聞いているとずっとギターをやられてきたとのことですが、他の楽器の解像度もギターに負けないぐらいものすごく高いですよね。

segarl

例えばドラムを例に挙げるんですけど、YouTubeでドラマーがドラムをたたいている動画を好きでよく見てるんですよ。なので、意図的に手が足りなくなるフレーズを入れることはあるんですけど、生っぽさを出すにはどうしたらいいかっていうのはかなり研究しましたね。そもそも楽器が好きなので、暇な時には他の楽器の演奏動画とかをよく見ながら過ごしています。やっぱり生演奏している楽器の人たちにリスペクトがあるというか、自分もプレイヤーだから、その演奏を再現したいっていうのがありますね。

Tukkun

——曲を聴いていて感じたんですが、あまりボーカルに無理をさせるメロディーラインではないですよね。

segarl

そうですね。そのボーカリストの方が持っている良さをできるだけ引き立たせたいなっていう思いがあるんですよ。人の声って本当に千差万別で、音域が広いとか狭いとかは当然あるんですけど、それ以外にもその人の声がその範囲の中で、どこで一番いい鳴り方になるのかっていうのは最初に研究するところですね。その方の既存曲とか声質とかも聞きながらメロディーラインを作ってます。

音楽活動で一番大切にしている部分

Tukkun

——作曲活動や音楽活動をしていて一番大切にしている部分はどこでしょうか。

segarl

音楽をやっている人でもやっていない人でも、聴いていて心地いいと感じる部分があるか、かっこいいと感じる部分が作れるのかっていうのはかなり大事にしています。

segarl

音楽全体を通してというお話だと、自分がいかに熱量を持って取り組めるかどうかっていうところを一番大切にしていますね。これまで色んなお仕事をさせていただいたんですけど、クライアントさんが喜んで、それを聴いたお客さんも喜ぶのが当然大事ではあるんですけど、自分がかっこいいなと思えるかっていうところに戻って来ますよね。これまでずっとエンタメ業界にいたので思うところというか、結局人が楽しんでいるところとか熱中しているところに人が集まってくるので、やる理由を相手に見いだすんじゃなくて、自分に見いだしたいですね。

segarl

あとは、もう人生の半分ぐらいは生きたので、もっともっと自分のためにギターを弾いたり曲を作ったりしてもいいのかなっていうのもちょっと思っています。

これからの挑戦や目標

Tukkun

——本当にいろいろ聴かせていただいてありがとうございます。ぜひこれからの目標や挑戦についても教えてください。

segarl

なんか秘密基地みたいな場所を作りたいなと思っていまして、そこをレッスン場にするとかいろいろ考えているんですけど、そこを拠点にいろいろな新しい広がりができたらいいなって思ってますね。あとは以前、イベントでセッション会をやったんですけど、そういった感じで人が集まって、人とのつながりを作っていきたいなっていうのが今後の挑戦ですかね。

皆さんへメッセージ

Tukkun

——最後に皆さんへメッセージをお願いします。

segarl

人前に出る仕事ではないんですけど、もしかしたら僕の弾いたギターをドラマとか情報番組『スッキリ』(OPテーマ)などのテレビ番組で聴いたことがある人はいると思います。そういった音楽の仕事をしている人がいるんだよっていうことと、曲作りにおける縁の下の力持ちとして活動している人もいるんだっていうことを知ってもらえたらうれしいですね。

segarl

あとはスタジオミュージシャンが結構出没するライブバーとかも世の中にはあるので、そういった場所でスタジオミュージシャンの音楽に触れてみるのも僕としてはオススメです。ぜひスタジオミュージシャンにも注目してみてください。

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