概要
2026年10月25日(日)に行われるM3 2026秋。TatshMusicCircleの頒布情報に加え、物語を詰め込み、CDとしての価値を極限まで高めた新譜『Frozen Tears』の制作秘話などをたっぷりと語っていただいた。
前編は主に新譜『Frozen Tears』の音楽的な側面についてインタビュー。TatshMusicCircleの常連さんも初見の方も、CDや音楽制作へ真摯に向かうTatsh氏の姿は必読!
TatshMusicCircle 2026年秋M3頒布情報
イベント情報
- 日時:2026年10月25日(日) 10時30分~15時30分
- 場所:東京流通センター(TRC)第二展示場1F
- 配置:あ01ab「TatshMusicCircle」
- 配置図:https://www.m3net.jp/m3_58/M3tuushin58map_web.pdf
新譜『Frozen Tears』

ゴシック・ファンタジーをテーマにした、TatshMusicCircleの新作アルバムです。
- 全21曲収録(カラオケトラックなし)
- ブックレット:16P
- イベント価格:3,000円
- ショップ価格:3,800円
- グッズセット付き:4,800円
- BOOTHや各種同人ショップで事前予約受付中
参加アーティスト(クレジット)
- Vocals:彩音さん(Track 2, 6)、KEIさん(Track 7)、星野奏子さん(Track 13)
- Guitar:IMAJOさん(Track 2)、sakさん(Track 6)
- Violin:Rei ITOHさん(Track 7, 12)
- Voice acting:Yunoさん
- All Music & Arrangement:Tatsh
- All Lyrics:SisA
CDのコンセプト
今回は「ゴシック・ファンタジー」をテーマに制作しました。物語の世界を描いた新曲を中心に、音ゲー提供楽曲のリファインと、MusicVote企画の楽曲を加えた、3部構成の1枚です。
3つのDIMENSION
CDは3部構成です。
- GOTHIC DIMENSION(Track 1〜8):ゴシック・ファンタジーをテーマにした楽曲群
- RHYTHM GAME DIMENSION(Track 9〜13):音楽ゲーム提供楽曲を自らリファインした楽曲
- MUSIC VOTE DIMENSION(Track 14〜21):MusicVote企画でリリースした楽曲
トラックリスト
GOTHIC DIMENSION
- ローゼンヴァルトの館
- Frozen Tears(Vocals:彩音/Guitar:IMAJO)
- 沈黙するガジェット
- ループする迷宮
- 蒼月の広間
- 記憶の棘(Vocals:彩音/Guitar:sak)
- 白銀のワルツ(Vocals:KEI/Violin:Rei ITOH)
- メリーバッドエンド
RHYTHM GAME DIMENSION
- ARMA:CytusΩ用に制作された幻の楽曲。CytusΩは、稼働に至らなかったCytusのアーケード筐体
- 聖者の息吹 <Sacred Rebirth>:グルーヴコースター初出で、チュウニズムやMuse Dashにも移植された楽曲
- Xresc. <Original long ver>:8ave.収録楽曲
- Daylight <Unplugged>:DEEMO収録楽曲。ピアノとバイオリン(Rei ITOH)だけのシンプルなアレンジ
- 光 -HIKARI- <Original long ver>(Vocals:星野奏子):オウギヒメ収録楽曲
MUSIC VOTE DIMENSION
- Aquatics
- Sunlight
- Into the Sun
- Lips -Close to you-
- Electric Tide
- Liquid Blue
- Rumble Fish
- Summer Liberation <English ver>
物語・あらすじ
かつて、人間を宝石のような結晶(マテリアル)へ変えてしまう禁断の技術が生まれた
イクス、レイラ、エレノアナは、マテリアルとなった人々を救うため
数少ない取引情報を頼りに追い続けていた
やがて3人が辿り着いたのは、深い森の奥に佇む奇妙な洋館――ローゼンヴァルトの館
足を踏み入れた3人を待っていたのは、何度も繰り返される奇妙な違和感だった
館の奥へ進むほど、目的は曖昧になり、大切な記憶さえ薄れていく
それでも3人は、どこからか聞こえる少女の声に導かれるように館を彷徨い
忘却の力を発揮し続ける館と、救いを願って残された手紙に
秘められた真実へ近づいていく
その他情報
事前予約・通販、取扱ショップ等
BOOTH
https://tatshmusiccircle.booth.pm
- ・DIVERSE DIRECTさま(グッズ付きセットあり)
- ・TANOC STOREさま(グッズ付きセットあり)
- ・ブックメイトさま(グッズ付きセットあり)
- ・とらのあなさま
- ・メロンブックスさま
- ・Geek Jackさま
インタビュー全文
大ボリュームの新譜『Frozen Tears』!

——M3への出展おめでとうございます。今回の出展で出される『Frozen Tears』についてぜひお話を伺わせてください。まずは、曲数も内容もすごくボリューミーになってますね!

前回の春M3も2枚組でボリューミーだったんですけど。即売会で実際に売っていると、やはり、手に取ってくれる人にとって、1曲でも多く入ってる方がうれしいかなっていう気持ちがあって、今回の作品もボリューミーになっています。毎回ベストを尽くしているつもりです!
『Frozen Tears』の構想は

——いろいろな構想があった中で『Frozen Tears』を今回の新譜にした理由についても伺えたらうれしいです。

17年前にPCゲームから、コンシューマー、そして、最終的にはテレビアニメになった『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』っていう作品がありまして、そこでOPを歌われた彩音さんと一緒に“Tearsシリーズ三部作”っていう作品を作っていたのが背景にあります。これをもう1回、やってみようっていうのがきっかけでした。ただ、『Frozen Tears』を表題曲に作品を作るとなっても、それ1曲だけじゃなくて、これが主題歌になるような物語を作るとか、その物語に合わせた他の曲を作るとか、その世界観的な部分も作ってみたいなって思ったのが大きいですね!

——今回ゴシック・ファンタジーというジャンルをあえて指定している理由についても教えてください。

コンセプトをはっきりさせた方が、手に取ってもらいやすいものになるかなっていうのがありました。M3で毎回買ってくれる方の顔はなんとなく覚えてるんですけど、初めて見る方も結構いるので、Tatshのことを知らなくても買ってくれる人がいると思うんですよ。そういう方々にとっても、手に取りやすい感じを今回は強く意識しました。
なぜ1枚のCDに?

——今回、1枚のCDの中にGOTHIC・RHYTHM GAME・MUSICVOTEという異なるジャンルが入っていますが、CDの中で明確に分けた理由とそもそもCDを分けるっていう選択肢もあったのかなと感じまして……。

まず、GOTHICに関しては全部新曲になるので、単純に「混ぜたくはない」と思った感じです。ちょっと話は飛びますが、MusicVoteに関してもユーザーの皆さんと一緒に曲順も含めてリリース順を決めたっていうイベントで、この通りに形を残したかったっていう思いがありました。確かに3枚組として出しても良かったんですけど、今回のCDはゴシック・ファンタジーなので、別次元(DIMENSION)っていう設定でいろいろなコンセプトの曲を入れたら面白いかなっていうのがあって、今回のような形にしました!

CD3枚組とかも考えましたが、さすがに価格も高くなりすぎてしまうので、それは購入者の負担になりますから。そういう意味でもなるべく1枚には収めたいということで、今回は、このような形になりました。

——順番にもこだわったとか!

そうですね。GOTHIC DIMENSIONは今回の新曲ですしメインだから一番に持ってきました! MUSICVOTE DIMENSIONに関してはどっちかというとボーナストラック的な要素が強いんですけど、こういう楽曲もあるのでぜひ聴いてほしいなっていう気持ちでいます。MUSICVOTE DIMENSIONは夏っぽい曲が多いので、寒くなった時期に聞くのも、それはそれで良いかも?って思っています。
制作過程について

——今回は物語を作りながらの作曲になったと思うんですが、ぜひ制作過程についても教えてください。

『Frozen Tears』の世界観を構築していく上で、今回は洋館に入り込んだ後に物語がどう展開するんだろうっていうところから、考えました。Track1や3は、すぐにできていたんですけど、物語の結末的なところに関しては、考えるのにすごく時間がかかりましたね。
時間がある時には、作品に、付きっ切りになれるんですけど、合間合間にいろいろなご依頼があるので、中断しつつ物語を考えつつ、実は最後の最後に『Frozen Tears』が完成した形になります。表題曲の『Frozen Tears』をはじめ、大きなスタジオで最終MIX、マスタリングなどの仕上げを行ったので、音質にも十分にこだわった作品となっています。

物語を作る難しさ

——物語を作るという部分で難しさもあったのかなと思いますが。

結構ライトノベルを読むのが好きなのと、はやるかどうかを狙って作っているわけではなくて、自分が読んでみたいとか、自分が好きな部分を中心に作りたいなっていう思い先行で作ったんですよ。なので、難しくなかったって言ったら変ですけど、スタッフたちと楽しんで作れました。かなり読みやすい文章にはなっていると思いますので、ぜひ、読んでもらえたらうれしいです。

——物語と曲作りがお互いに影響していたわけですね。

片方だけやっていても煮詰まっちゃうというか、発想が乏しくなってくるので、両方を行き来しながら作れたのは良かったなって思っています。ただ、この3人のキャラクターたちとは、2020年の3月から一緒にやっているので少し慣れていた部分もあったのかな……。
生身の人間との収録

——今回は生身の人間を入れての収録になっていますが、自分の世界観や物語を表現するという意味ではAIボーカルを使う選択肢もあったんではないでしょうか。

確かにAIボーカルは色を持たないっていう意味で素晴らしいんですけど、今回は、彩音さんをはじめ、優れたボーカリストと作品を作ってみたいと思いました。

——今回の収録では女性ボーカリストが多いのかなと感じています。

そうですね。最近曲を作っていると、女性ボーカルの方が合うかなって感じるシーンが結構あるので、男性ボーカルを扱わずに女性ボーカルに限定するっていう部分でチャレンジしています。でも、普段、聴いている曲は男性ボーカルの方が圧倒的に多いですね。

——人の強烈な個性が入ることで、楽曲のやり取りをする際に曲が若干変わっていく部分があるのかなとも思うんですがいかがでしたか。

特に彩音さんとは、過去に何曲もやっているので、歌声がより映える感じというをあらかじめ曲に反映させてはいたんですよ。後は、彩音さんも僕がやりたいことを分かっているので、実は最初に作った時とそんなに変わってないかもしれないですね!
ただ、前回作った『風烈ノ花』を彩音さんがライブで歌ったらすごく盛り上がったっていう話は聞いていたので、ライブで歌っても盛り上がるような曲にしようっていうのは意識していました。
GOTHIC DIMENSIONについて

——ぜひそれぞれの楽曲についてお話を伺いたいです。今回彩音さんが2曲担当されていますが、どんな背景があったんでしょうか。

実は過去のアルバムでも、1人のボーカリストが2曲も担当するのって珍しいんですよ。『Frozen Tears』に関しては最初から歌うっていうのが決まっていたんですけど、『記憶の棘』に関しては誰に歌ってもらうかが決まってない中で作っていたんですね。そんな中で出来上がった曲を聴いてもらって「この曲のボーカリストを探してるんだけど、どうだろうか」って質問したら「この曲の方が歌えるかもしれない」みたいな話になったんですよ。そこでお願いしてみたら、良い感じに歌ってもらえてたので、誰かに頼む前で良かったなって思っています。

——そんな背景があったんですね。

そうですね。後は『Frozen Tears』と『記憶の棘』ではギタリストが違います。『Frozen Tears』には、アイマスのライブや、ご自身もサイキックラバーとして活躍しているIMAJOさんにお願いしていて、『記憶の棘』ではsakさん方が担当しています。その2人によるギターサウンドの違いを楽しんでほしいなと思っています!

——それと、『白銀のワルツ』はTatshさんが作る曲でも珍しい部類になるかなと感じていたんですが、ぜひ制作について詳しく教えてください。

まずこの曲は3拍子になっていて、普段自分が作る楽曲とは少し違った雰囲気の曲になっています。今回は、これまで自分があまり作ってこなかったタイプの曲調にも取り組んでみたい、という気持ちがありました。仮歌の段階ではAIボーカルを使って制作していたんですが、曲の雰囲気に合うボーカリストの方がなかなか見つからなくて。いろいろ探した末にKEIさんへお願いしました。レコーディングでは、こちらからのリクエストにもすぐに対応していただいて、楽曲のイメージにもすごく合う歌に仕上げてもらえました。KEIさんには、またぜひお願いしたいなと思っていますね!バイオリンも生で録音しています。もともと『DEEMO』に収録されていた『Daylight』という曲でもバイオリンをお願いしようと考えていたところだったので、「それなら『白銀のワルツ』でもぜひお願いしてみよう」ということで、こちらでも演奏をお願いしました。

——今や高クオリティーのストリング音源がある中で人にやってもらうことの意味についてどう考えていらっしゃいますか。

音の広がり方は打ち込みの方が得意ではあるんですけど、そこにバイオリンがあるっていうような、演奏者の存在感の出し方に関しては、生のバイオリンならではの良さというのがありますね。
『Frozen Tears』のMVについて

——新譜である『Frozen Tears』にはAIで作られたMVも付いてますが、ぜひここの制作についても教えてください。

最終的な編集は別の方に依頼しているんですが、素材の生成や選定と各シーンのつなぎに関しては、自分やスタッフで結構やってました。実は動画を作ろうとしていた時にちょうどAppleのサブスクでFinal Cut Proが出たのでどんどん作っていけたっていうのもあります。
ただ、AI動画の技術も日進月歩なので、前に作った動画がどんどんいまいちになって、永遠に完成しないサグラダファミリアみたいになってました。

——かなり手間がかかってますよね。

展示会などで、AIを活用して作品制作をされている方々とお話しする機会がありました。その時、話題にあがったのが、AIによって以前より簡単に作品を作れるようになったとはいえ、「AIでそのまま出力したもの」と「AIを活用しながら、そこからさらに手間をかけて作り込んだもの」では、やはり作品としてかなり違いが出るということでした。

個人的にも、AIを使っているかどうか以上に、そこからどれだけ工夫したり、試行錯誤したり、手を加えて作品として仕上げているかという部分については、とても大事だと思っています。AIイラストをジャケットアートに使い始めた時から、ポリシーとして、印刷物になるものに関しては、出力しただけではなく、かならずレタッチなどの作業も行っています。そして、他の方のAI作品を見ても、しっかり手間をかけて作られている作品はいいな、と改めて感じています。
音ゲー楽曲のリファイン!

——今回一つの目玉として、音ゲーに収録されていた楽曲をリファインしていらっしゃいますよね! こちらについてもぜひお話を聞かせてください。

ぜひ全部について触れられたらと思います。『ARMA』に関しては、リファインというよりも、アーケードの音ゲーになるはずだった『CYTUSΩ』の開発が止まってしまったことで出せなくなった曲だったんですよ。メールで「ARMAはどうなったんでしょうか。何とか収録できませんか」とメッセージをいただいて、何とか知り合いをたどって許諾を得て収録できた楽曲になります。もう開発チームが解散されてるので、大変でしたけど、収録できて良かったです。
『聖者の息吹』に関しては、『GROOVE COASTER』で出した曲なんですけど、いろいろなコラボで『CHUNITHM』や『Muse Dash』にも収録された曲です。こちらは、あえてリアレンジというか全部を作り直した感じになっていまして、「今の自分のサウンドで再構築をしたら……どうなる?」というコンセプトで作りました。

『Daylight』に関しては、自分の中でも大好きで思い入れのある曲になっています。AIを使ってボーカルを作ったり、アートや動画を作ったりしているので、アンチAI的に、人間に依拠した部分でやってみたいと思いました。サブタイトルに“Unplugged”って名前を付けまして、ピアノとバイオリンのみの編成になっています。作ってる時にはいろいろな音を入れたくはなりましたが、ぐっとこらえるのが大変でしたし、最終的なスタジオ作業でも、ミキシングに時間がかかった曲です。
『光 -HIKARI-』はオウギヒメというゲームに向けて、作った楽曲になっています。ゲームでは流れない2番の歌詞がどうなっているのかっていう部分に注目してほしいです。『Xresc.』に関しては音数が結構多くてスタジオでMIXをするぐらいこだわったので、ここについても聴いてほしいなと思います。
『8ave.-オクターブ-』の楽曲を先行配信

——『Xresc.』は『8ave.-オクターブ-』のリリースに先駆けて楽曲が公開されますね!

そうですね! 先行収録になりますね。でもこういう曲が『8ave.-オクターブ-』には入ってるんだっていうことで、うちのCDが宣伝になればと思って、入れさせてもらいました。
